2017年度第3回研修会の報告。
2017年度第3回研修会の報告。
11月5日(日)スクエア荏原 中会議室にて、当会顧問医師 丹羽真一先生をお招きして研修会が行われました。参加者18名。
題目「統合失調症当事者の引き籠りへの対策」
統合失調症の症状や経過、治療法等の基本情報から、当事者のリカバリーや社会参加への取り組みと課題を、ご自身が訪問されたイタリアのトリエステ市の精神科医療サービスシステムの例を挟んで、お話して頂きました。
いつもよりお客さん入っています。
先ずは基本データから。
「統合失調症の自然経過」
経過を4期に分け、それぞれ治療目標が有ります。
グラフのギザギザは再発の成り易さを表し、再発防止を目指します。
発病・再発を防ぐには、
・周囲からの支持
・生活技能の形成
・移行的プログラム
・抗精神病薬
以上の“防御因子”を強くします。
写真は2001年WHOの障害者モデル。〝出来ない”から〝参加”へ。
当事者の社会参加を治療ゴールとしています。
リハビリとノーマライゼーション(環境調整)と共に、エンパワーメント(本人の力)が、引き籠り回復の要因です。
より身近でモデルになるような当事者の影響を受け、社会参加の機会を知ることが、エンパワーメントに繋がります。
治療者と当事者でリカバリーの捉え方は違います。「精神障害を持ちながら、ふつうの人として元気に生きるという考え方、生き方を身につけられるようになること」
「パーソナル・リカバリー」を満たす4つの条件。
1.希望
目に見える現実的なビジョン
2.エンパワメント
自分の可能性と能力を感じる 成功体験
3.自己責任
リスクを抱え失敗や過ちから 学ぶ。(失敗から学ぶ姿勢を周 りの人と共有する)
4.生活の中の有意義な役割
普通の役割を引き受ける
地域生活移行
ACT:Assertive Community Treatment
「包括的地域生活支援プログラム」
チーム(多職種)によるアウトリーチ(訪問医療活動)。
入院医療・地域資源と連携、
症状の重い精神障害者への退院促進・質の高い地域生活維持・再発予防に貢献する。
夜間休日、24時間対応。
-病院の訪問看護とは違う
(病院は囲い込み傾向。治療者目線である)。
FACTを作る会
福島で家族会と共に、当事者目線の訪問外来システムを作る。
福島は原発事故で病院が閉鎖、
転院者が800人に上る。
-広域の為、2時間は掛かる
移動がネックに。
トリエステにいってきました。
イタリアの精神医療サービスシステムの見学。2007年10月。
1978年、公的な精神病院を閉鎖・廃止する法律(主に北部。私立病院は存続等、地域格差有り)。
トリエステは医師バザーリアが、地域医療ケアへの転換、治療者と患者の格差解消を唱えた、発祥の地。
写真は80年に廃止された
市立マジョーレ病院の管理棟。
現在は、グループホーム。
地域保健センター
人口5~6万人毎に5つの地域に分け、精神保健センターを設立。
医師3、看護師、心理士、理学作業療法士、福祉士等20人程が勤務。
多職種チームでアウトリーチ。
24時間のサポート体制。3交代制。
交流室兼食堂。寝室もある。
ある患者さんの家を訪ねる
-トリエステを訪ねて分かったこと。
市営アパートで2~3人が共同生活。-自治体が市営アパートの部屋を共同住宅として障害者に提供。
年金で家賃を支払い。-経済的支援制度。
宿泊したホテルでも当事者が就労。-企業の受け入れ義務、ジョブコーチとの訓練等、障害者雇用制度が機能している。
救急のみを扱う部門(病院)もあるが、1日以内に精神保健センターに移送。一部保護室的な部屋もあるが、カラフルな居間やキッチン、出入り口もロックされず、日常生活の延長の雰囲気。
-精神障害者が地域で処遇されるべきという理念が、社会で共有されている。
質疑応答