2017年度第4回研修会の報告。
2017年度第4回研修会の報告。
2月4日(日)、品川区荏原保健センター2階 多目的室にて、東京都精神保健福祉家族会連合会(東京つくし会)の植松和光 副会長をお招きして、研修会が行われました。参加者17名。
「精神障害者の健康と福祉施策」をテーマに、前半はつくし会等が行った「東京都心身障害者医療費助成制度(マル障)」請願活動と精神障害者への生活実態調査の報告、後半では精神科での入院患者への隔離と身体拘束問題が提起されました。
質疑応答も活発に行われ、あらためて、精神科医療の問題点を考えさせられるひと時となりました。
マル障は医療費の3割負担分を、行政が助成するという制度。東京都では、身体と知的障害の1,2級の人には導入されている。
東京つくし会と一部当事者会が共働して「東京マル障の会」を結成。2016年暮れから、署名活動や都議への陳情などの働き掛けを行った。
結果、東京都は精神障害者の1級のみの導入を決めた。2019年1月から開始の予定である。
ちなみに、身体・知的障害の該当者は、精神科に罹っても助成され実質無料になっている。
つくし会はマル障導入の根拠として、「東京に暮らす精神障がい者の医療費負担度に関する調査」を行った。
収入は障害年金2級・B型事業所の工賃等で平均71391円。
歯科を筆頭として、医療費に負担を訴える人が74.2%、受診出来ないという回答も多く、家族へ負担を理由に挙げる人が37.9%になっている。
また昨今では、80・50(歳)問題等、家族と当事者の高齢化が問題に挙げられている。
写真は2017年11月16日に行われた「マル障実現都民集会」の様子。
新宿区の戸山サンライズでの基調講演の後、高田馬場駅までシュプレヒコールを上げ、デモンストレーションを行った。100名が参加。年輪の会も、佐藤会長と廣田広報が参加した。
当日夜、NHKの首都圏ニュースで紹介された。
精神保健福祉法36-3では、精神科病院・施設での患者・利用者への身体拘束が処せられる限定条件が記されている。
身体拘束は、2003年5000人から2014年1万人超と増える傾向にある。
写真は、杏林大学の長谷川利夫教授が再現したもの。
2017年7月、ニュージーランド国籍のケリー氏が、神奈川県内の病院で身体拘束、10日後に心臓発作、7日後に死亡。
家族がカルテ開示を要求、外国人記者クラブで会見を行う。
長谷川利夫教授が、「精神医療の身体拘束を考える会」を結成。
看護記録にはカルテと異なる平穏な状態の記述があった。
拘束が処方として使われている。
精神科特例(他科より医師・看護師が少人数)の廃止と、医療現場の可視化(録画)、病院・施設訪問が課題として挙げられる。
1年以上の入院患者は「重度かつ慢性」として、地域移行の対象から外される。
「重度かつ慢性」者を決めるのは、厚生労働省の研究班であるが、そのメンバーは精神科病院の人達である。
困難性統合失調症に処方される薬剤クロザピンと通電療法の副作用の課題等、医師に判断を任せられるのだろうか?
濁った水をすくってまた池に戻しても、水は濁ったままである。
(佐藤会長は入院時保護室に隔離された時、薬の副作用で口渇して水を所望したが聞き入れられず、トイレ(流してない)の水を飲んだ。)
質疑応答
「入院手続きが細かい病院は面倒だが、良い病院だという印象がある」
「最近ではワーカーなどのスタッフが、医師に意見を発する現場も見られる」
写真は、次回研修会講師の飯塚伸一氏(品川区保健サービス課 臨床心理士)。