【広島湾の水中散歩】24.コノハミドリガイのお話
こんにちは! うみうし大好きダイバーのみゆきさんです。 1月中旬から春にかけて、広島湾はウミウシの宝庫になります。 マクロ派ダイバーたちが一番活き活きとする時期です。寒さを撥(は)ねのけウミウシ探しに夢中になります。 *マクロ派ダイバー・・・海に生息する小さい生物にロマンを感じて追い求めているダイバー この時期に多種多様のウミウシが観察できる理由の一つが、冬場に海藻が生い茂ることです。藻を餌とするミドリガイ系のウミウシは一年を通して観察できますが、冬から春が本番。あちこちの藻に張りついて、せっせと食事している姿をみることができます。 コノハミドリガイ、クロミドリガイ、ヒラミルミドリガイ、アズキウミウシなど、嚢舌類(のうぜつるい)のウミウシにはたくさんの種類がいます。餌である海藻の葉緑体を自分の細胞内に取り込み、光合成を行う珍しいウミウシです。今日はその中のコノハミドリガイにスポットを当ててみましょう。 コノハミドリガイは、頭部と心臓を含む体の大部分を切り離しても、再生してほぼ元通りの状態まで回復することが奈良女子大学の研究で判明し、話題になりました。恐るべき再生能力ですね! 色は葉緑体の色素である緑色をしており、「つるつる」「すべすべ」な体をしています。採取して絶食している状態でも1週間~1ヶ月くらい生き続けることができるのは、取り込んだ葉緑体で光合成を行い、栄養を保持できるからと考えられています。 参考文献 「合成するウミウシで大規模な自切と再生を発見―心臓をなくしても大丈夫。驚くべきウミウシの能力―」 奈良女子大学人間文化総合科学研究科 三藤清香 奈良女子大学研究院自然科学系生物科学領域 教授 遊佐陽一