LEGO®️で考える災害に強いまち

アイキャッチ: LEGO®️で考える災害に強いまち
【市民協働のまちづくり活動応援補助金活動事業】

内容:LEGO®️で考える災害に強いまち
実施日・時間:2022年3月21日(祝)10:00-12:00
場所:福山通運小丸賑わいパビリオン
当日参加人数: 20組(大人22名、子供28名)、うち7組が外国籍住民

※新型コロナウイルス感染拡大防止対策をした上で開催しました


春の日差しが気持ちのよい祝日に親子向けイベント
「LEGO®️で考える災害に強いまち」を開催しました。

今回は、広島大学LEGO部らいごっとさんとのコラボイベント。
私たちが考える防災とLEGOを形にするお手伝いをしていただきました。


最初に「親子で話そう 防災のこと」という企画として
おうちの方とお子様で「危ない時はどこに逃げる?」「誰に連絡する?」「どこにメモを残す?」など、もしもの時の備えについて話し合っていただきました。
「東広島で起こる災害って何があるかなぁ?」「災害によってとる行動も違うよね」という親子や周りの人との会話からスタート。

次に、LEGO部らいごっとさんと一緒にLEGO®️シリアスプレイの手法を用いて「できるだけ高く積んでみよう」「毎日の生活で大事にしている物事ってなに?」「東広島・西条のあぶないところってどこ?」という問いに合わせてLEGO®️で作品を作っていきました。

休憩時間を挟んで、みんなで理想の避難所を作ろう!という企画を行い、KAPLA®️やLEGO®️を用いて、思い思いの避難所を作成しました。

休み時間や終了後には、災害時に使える防災用品、屋外でお湯が沸かせる道具の体験、そしてサタケさんの防災食の調理、試食を行いました。

(お詫び)感染対策の観点から、申込者多数につき、参加をお断りした方が10組いらっしゃいます。大変申し訳ありませんでした。
こちらのイベントはまた2022年初夏にも開催予定です。
皆様のご参加をお待ちしております。



_________________

*この企画のねらい*

お子様に親しみのあるレゴを介して言葉を引き出すことで,
(1)子供たちが初対面の相手ともコミュニケーションを取ること,
(2)親子やお友達と防災について考えることは楽しいと感じること,
(3)このまちに住む多様な存在に気づき、災害時弱者となる人の立場を考えてみること,
の3つを主な目的として企画を行って参りました。


日本人と外国籍住民の方が教える,教わるという関係性ではなく「共に何かに取り組む」という場を創出し、災害発生前にコミュニケーションをとり、災害に備えるのが私たち団体のイベントの特徴です。

一般に防災学習というと知識伝授型の教育が行われがちですが、
本イベントは、大人が答えを与えず、子供たちが知識やアイデアを出しあうことで「自分で考える」時間となるように工夫しています。


「答えを知りたかった!」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、防災・減災の中には「一つの正解」がないものもあります。
ぜひイベントへの参加をきっかけとして家族で話し合い、「自分たちはどこへ逃げるの?」「何を備えておくの?」などと会話したり調べたりしながら、自分たちはどう命や生活を守るのか、最適な解を見つけていただければと思います。

(企画・運営 代表: 小口悠紀子)

イベントは、子供たちに親しみのあるレゴを使ったワークショップ形式で行いました。レゴの数が少ないように思いますが、これは子供たちが制限時間内に考えを形にするシリアスプレイを行うのに適した数だそうです。

まずは、ブロックを高く積んでいくというタスクで指慣らしをしました。高く積んだレゴと足の長さを比較して、子供が歩いて避難できる水深、子供や女性の力で玄関のドアを開けられる水深をレゴを使って想像して学びます。

次に、日常で大事だと思っているものごとを表現するというワークでは、子どもたちが災害によって失われたくない日々の生活を思い浮かべることができるようにしました。LEGO部らいごっとさんも優しくサポートしてくださいました。

お友達が表現したレゴが何か当てたり、説明したりして、初対面の子供同士のコミュニケーションが深まっていきます。

3つ目に、このまちの危険なところについて考え、それぞれの考えを発表するタスクを行いました。自分の生活を思い浮かべた後で、自分たちが暮らすこの街というローカルな部分に着目することで、子供達の思考が地域や他者へと向かっていくよう計画しました。

このまちの危険なところは?という問いに対し、自分の家の周りで危険だと思う場所を挙げてくれました。そのほか、平成30年7月の西日本豪雨の際に崩れた山のある場所を表現してくれた子どももいました。

お父さんやお母さんから「雨の時は近づかない!」といわれている川や橋を作ってくれた子もいました。

休憩の後は、避難所を作るタスク!!
色とりどりのブロックを前に、「避難所って何?」「ベットあるの?」と会話が生まれます。

木の長細い板、カプラは初めて見るというお子さんも多かったです。シンプルゆえ、様々なものを創造することができます。

思いを形に。「私はお部屋作るね」「お風呂ってあるのかな?」「壁はカプラで作ってみようよ」「地震がきたときのために頑丈な方がいいよね?」いろんな会話が生まれています。

避難所が形になってきたタイミングで、しかけのカードを配布。「お料理はどこでする?」「こんな人(ペット連れ、乳児連れ)が来たよ。どうする?」と子供たちに問いを投げかけていきます。

「赤ちゃん連れが来たよ、どうする?」「赤ちゃんが泣いたらみんな眠れない」「大人がいっぱいいたら赤ちゃんだって眠れないよ・・・安心できるお部屋がいるね」子供達の間にそんな対話が生まれていきました。

「これは何のマーク?」「お腹痛い人?」「座ってるね」「お祈りだ!」「私お祈りするよ」「お祈りする人もいるね、静かな部屋がいるかな?」このまちには多様な文化や習慣を持つ人が住んでいることを、自然と気付けるように設計しました。

当日はシリア、ベトナム、インドネシアなど、多様な国出身の方も参加してくださり、親同士のコミュニケーションの場にもなりました。

4歳の男の子、お母さんが見守る中でこんな大作を作ってくれていました!!!!線路だそうです。

小さいお子さん連れの親子はみんなで思い思いの作品を。弟や妹も一生懸命、集中して取り組んでいました。

企画者より(避難所作成タスクについて):

子供たちが避難所の設計や組み立てを行うことは非現実的に思われた方もいらっしゃるかもしれません。ただ,避難所というのは街の縮図のようなところでもあります。
犬を連れた人,乳児を連れた人,宗教が異なる人がやってくるという状況を作ることで,この街にはいろんな人が住んでいることに気づき,対応を考えるという時間になることを願って企画しました。また、子供達の間で、本当はどうすればよかったんだろうか?という疑問を残したままにすることで、毎日の中で考えたり防災情報をキャッチしたくなる工夫をしました。

避難所には多様な人が集います。自分と違う文化や習慣を持った人と同じ空間で過ごすことは年齢にかかわらずストレスの元になることがあります。
この企画を通して,あらかじめ「いろんな人が来るかもしれない」「いろんな人が来る場所だ」という気づきを得ておくことで,「あ,あの時と同じだね」と子どもたちがより柔軟に受け止められることを祈っています。

ご参加くださったおうちの方へ:
避難所ってどんな場所なのか?誰が部屋割りなどを決めるのか?ペット,乳児,宗教的な配慮はどうなっているの?今回の活動を通して子供たちからたくさんの疑問の声が生まれましたが、私たちは意図的に答えを示しませんでした。
ぜひ週末や春休みを利用して,図書館やインターネットなどで調べたりしていただければ幸いです。

今後も東広島で防災について親子で考えたり学んだりできる場を創出して行きます。またお会いできることをお待ちしております。

(本イベントに関するお問い合わせ・ワークショップの依頼は、広島大学 小口悠紀子までお願いいたします。)


(文責: 小口悠紀子)